森の中へ
無意識の森に咲く花は
あまりに美しすぎて汚らしい
無意識の森に生きる動物は
あまりに優雅で物悲しい
無意識の森に生きる人は
あまりに気高くみすぼらしい
凍てついた太陽に打ちひしがれた
ガラスの樹木が
月の雫で甦る
そして鳥たちは無言でさえずり
また魚たちは困惑の泉に彷徨う
この森に生きるものすべては
満たされた苦痛の中で
人生の快楽を見出している
思考は後退する
価値観は失われ
言葉の意味は死に絶える
現実なのか幻想なのか識別できない
存在していることさえ理解できない
ここにはあらゆる不条理が息づいている
ここは天国でも地獄でもない
意識の無い森へようこそ
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